スマートフォンと連動して通知を出したり、電子マネー機能や活動量計も備えるSONYのスマートウォッチwena(ウェナ)ですが、2020年11月27日に三代目となるwena3が発売になりました。
この記事では、私が実際にwena3を購入して使用してみた感想をレビューします。
※全体のまとめが最後の「おわりに」にあります。概要だけ見たい方は見出しから移動ください。

wenaの歴史
「wena wrist」とは、ソニー社によって発売された、『見た目は腕時計そのままに、ステンレスバンド部に機能を入れ込んだハイブリッドスマートウォッチ』(公式HP)です。
2015年7月にソニーが開設したクラウドファンディングサイト、First Flightで同年8月からファンディングが開始されました。
目標額は1,000万円でしたが、なんと一晩で目標を達成。最終的には10倍の1億円を集めました。
そして翌2016年に発売されたのが初代wena wristです。この時はwena3のようなディスプレイは無く、電子マネー機能とスマートフォンとのペアリング、通知機能がメインでした。

そして2年後の2018年に2代目のwena wristがリリースされました。画面が少し大きくなって2行分のメッセージを表示できるようになりました。
また、ステンレス製のPro(左)とラバー製のActive(右)の2種類が発売され、これは3代目で複数種類のラインナップを揃える流れにも受け継がれています。

このころから5気圧防水や普通の時計のバックルと比較しても遜色のない厚みなど、まさにスマートフォン時代に溶け込んで無理のない、かつ精密機器であることを意識せずに使えるタフさを備えるようになりました。
そして満を持しての第3世代wenaに関しては以下にその特長を説明したいと思います。
製品概要と特長
wena3の大きな特徴としては、普通の時計でいうところのバックル部分に機能が集約された構造であることです。

また本体部分の厚みは6.9mmと普通のバックルとほぼ変わらない厚みとなっています。ちなみに標準的なビジネスウォッチの厚みで約10mm~程度です。
従来比(wena wrist active)では、体積30%、厚み2.5mmを小型化したということで、三代目になりますますデザインも洗練されてきたのではないでしょうか。
実際に腕に付けてみた厚みがこちらです。撮影のために手首側に付けてみましたがこの付け方でも全然問題なさそうですね。

標準的なバックルと同じサイズ感ということでディスプレイ部分は決して大きくはありませんが、高輝度有機ELディスプレイを採用しており、文字や数字程度であれば問題なく視認することができます。

代表的な機能
ハードウェア的な特長は上記のとおりですが、ソフトウェアとしても優れた特長があります。
電子マネー
一つの目玉としてはなんと言ってもSuicaをはじめ、楽天Edy、Quickpayといった電子マネーに対応していることでしょう。
もちろんiOS/Android両方に対応しています。
また、意外かもしれませんが、2020年11月時点ではSuicaに対応したスマートウォッチはApplewatch、Garminの一部上位機種、そしてwena3の三種類だけです。
ApplewatchはiPhoneのみとの対応になりますので、AndoroidユーザにとってはSuicaに対応した2つ目のスマートウォッチとなります。
更に、現行モデル同士で比較すると、Apple watchの最安価格は¥29,800(※Apple watch SEの定価)、GarminのSuica対応モデルは¥28,000(※VIVOMOVE 3/3S)となりますので、実はwena3はSuicaに対応したスマートウォッチの中で最安クラスとなります。
12/3 ガーミンから新モデル「Venu Sq Music」がリリースされました。定価28,800円でSuica機能、健康状態モニタリングのほか、単体で音楽が聴ける(Spotify、Amazon Musicなどからダウンロード)機能があります。

Alexa対応
wena3はAlexaにも対応しています。スピーカーがないため音声での回答はできませんが、Alexaに訪ねた内容はディスプレイに表示されます。
いかんせん画面が小さくスピーカーもないのでUIは便利ではないですが、Alexaに対応している他の機能は使うことができます。
例えばAlexa対応したスマート家電などはwena経由で操作ができるため、外出先からエアコンを付けたり、家の中でも照明を音声操作することができます。

また、Qrio(キュリオ)というスマートロックのサービスが対応しているため、自宅のドアなどにQrioを予め付けておけばwenaで開閉が可能です。
活動量計
SONYの最近のお家芸と言えばゲーム、カメラともう一つ、センサーです。
wena3も高性能な光学センサを2つ備え、様々な生体データを取得することができます。このセンサーで歩数、消費カロリー、最大酸素摂取量(VO2 Max)、眠りの深さに加えて心拍数も取得することが可能です。
これらの指標は「Sleep(睡眠)」「Rest(休憩)」「Walk(歩く)」「Run(走る)」の4つのモードと掛け合わせてスマートフォンアプリに表示されます。
ベルトは三種類で価格が違う
本体の形状は同じですが、ベルトは3つの素材タイプがあります。

上の画像の左からmetal、leather、rubberです。metalにはブラックとシルバー、leatherにはブラックとタン(ブラウン系)のカラーバリエーションがあります。rubberはブラック一色のみです。
また、本体のスペックは1種類のみなので、価格の違いはベルトの種類によって決まります。公式ページ記載の定価は下記の通りです。
Metal ブラック | Metal シルバー | Leather ブラック | Leather タン | Rubber ブラック |
¥35,000 | ¥33,000 | ¥32,000 | ¥30,000 | ¥24,000 |
ヘッド(時計本体)部分のチョイスについて
wena3の本体は普通の時計でいうところのバックルですが、手の甲側に時計のヘッドを固定することができます。
どうやってヘッドを固定するんだ?と思われるかもしれませんが、MetalとRubberの場合はエンドピース(下の写真左)をヘッドの両端に装着することでヘッドとwenaをつなげることができます。また、Metalはエンドピースのみで固定可能ですが、Rubberはwena側にも固定用のパーツが必要です。
Leatherの場合はエンドピースは使わず、革のベルト(下の写真右)を時計に通して固定します。
このようにMetal, Leather, Rubberでそれぞれベルトの通し方が異なりますので、例えばMetalで購入したwenaを後からLeatherに付け替えたりはできません。

また、wena3の発売と同時にwena専用のヘッドも発売されています。ひとつはカーデザイナーのジウジアーロ氏が手がけたモデルです。
また、wenaとのコラボモデルとしてSEIKOからBrightzと機械式ダイバーズウォッチ、CITIZENからPromasterがリリースされます。ビジネス、機械式、ダイバーズ、スポーツと、専用モデルのクロノグラフ、レースと腕時計の流行りは一通り揃えている印象です。
下記リンクが例としてSEIKOのBrightzです。もともとビジネスウォッチとして人気が高いモデルですので、MetalやLeather Blackと合わせてスーツ用途にも良いかと思います。
RubberであればカシオのG-shockやProtreckのようなヘッドも良さそうですね。いつか手持ちのProtreckで試せることがあればまたレビューしたいと思います。

実機の使用レビュー
ここからは実際に使用してみた感想です。しばらく使ってみて随時アップデートしていきます。
開封とベルトの調整
wena3ですが、こんな感じで箱に入っています。最近流行りのミニマルなパッケージですね。本体の下にベルト、取説、充電ケーブル、バネ棒とバネ棒外しが収納されています。

私はrubberモデルを買いましたが、ベルトはこんな感じです。ベルトの内側に5mmほどの間隔でスリットが入っていますが、長さ調節の際はこのスリットにあわせてハサミでベルトを切ります。
当然やり直しができないため注意しましょう。カットができたら側面の穴にバネ棒を通して本体に固定します。

開始方法:iOSアプリから連携
wena3とスマートフォンとの連携や各種設定はアプリを通じて行います。iOSの方はApp Storeから、Androidの方はGooglePlayからどうぞ。
アプリの操作はごく簡単なので詳細な手順は割愛させていただきます。セットアップにはSONY ID、Apple IDまたはFacebookのアカウントが必要です。
スマートフォンとwenaの接続はBluetoothで行います。こんな感じでぽちぽちやっていけば完了します。

電子マネー機能
次はSuicaを試してみます。こちらもカード発行とチャージはアプリ->Payment設定から行います。
物理的なSuicaカードは必要なく、アプリ上で仮想カードを発行可能です。クレジットカードからチャージして2,3分で設定完了しました。

またコンビニで支払いを試してみましたが、(当たり前ですが)問題なく支払いをすることができましたし、山手線にも乗れました。
公式ページによると新幹線のex予約にも対応しているのでいずれwenaで新幹線に乗って見たいと思います。
Alexa機能
Alexa機能も試してみました。本体オンオフボタン(下の画像で言うと右上)の隣にピンホールマイクがあり、そこに例の”Hey, Alexa!”で質問開始できます。
今回は「Alexaについて教えて」と聞いてみました。スピーカーが無いので画面に回答が表示されます。決して大きくはないですが、文字を読む分には支障ありませんでした。

また、Alexa機能はアプリからの設定でオンオフボタン長押しに登録することができます。ボタンを3秒くらい押すとダイレクトにAlexaが立ち上がってくれるので便利です。
ライフログ機能
wena3では歩数、消費カロリー、最大酸素摂取量(VO2 Max)、眠りの深さ、心拍数、ストレスレベルとエネルギーの6種類が測定可能です。
サンプルとしてある一日の測定結果を載せてみたいと思います。またおおまかな正確性についても評価してみたいと思います。
また測定の前提は下記の通りです。
- 対象:30代前半男性
- 身体的特徴:小柄中肉、やや筋肉量多め
- 活動量:低め(デスクワーカーのため)
- 寝ている際はwenaを外す

1日の平均心拍数は75bpmとなりました。成人男性の平均的な心拍数は60~70bpmくらいですのでやや高めに出ているかな?とも思いましたが、寝ている間の心拍数が下がるタイミングでwenaを外しているため平均が高めになっていると考えられます。
ですので、概ね正確に測れているのではないでしょうか。
また、農林水産省のガイドラインによれば活動量低めな成人男性の場合、消費カロリーは2,200±200kcal程度とのことです。
これも寝ている間の基礎代謝がカウントされていませんので、2,055kcalも概ね違和感のない数字かと思います。

歩数は特に問題ないかと思います。動きのタイプによって静止、座り、歩き、走りなどを自動的に分類してくれます。

そしてこちらがエネルギーとストレスレベルになります。ストレスに関しては流石に確認のしようがないですね…。
また、Body Energyはwenaを付けた10時ごろが底で、あとは回復する傾向にあります。これは直観と合わないため、ロジックが気になるところです。
その他の機能や感想
アプリからの機能が充実しているのに驚きました。
wena本体の画面レイアウトやSuicaのチャージ、Alexaの設定、お休み時間の設定などすべてのことがアプリから操作可能です。wena本体の画面は小さいのでこの仕様は大変ありがたいですね。
その他意外に嬉しかった点としては、ラバーベルトの質感がいいこと。正直もっとちゃっちいかと思っていましたが、意外と悪くないです。ややマットでスムースな表面になっています。
また、wena本体はバックルなので本来手首側につけるのですが、本体を手の甲側につけるスマートバンドスタイルでも全く違和感ありません。ちょっとスリム&オシャレになったFitbitという感じ。
私は手首が細いので別途ヘッドは付けずにスマートバンドとして利用しようと思います。
充電の持ちは
購入後100%まで充電してまる2日ほど使用しました。条件は下記のとおりです。
- 日中はつけっぱなし
- 日に1,2回程度Suicaを使った
- Alexaは使わなかった
- ライフログはたまにスマホアプリから見た
- 寝るときは外した
在宅ワークなのであまり動き回ることもなく、就寝時も外していたのでほぼ待機電力+αくらいの消費量だと思います。
結果的にに、丸二日の使用で充電は100%→90%となりました。2日で10%しか減らないとなると、かなり電池の持ちはよさそうです。もっと頻繁に使う人はもう少し消耗するのかもしれませんが。
自分がApple Watchの購入に踏み切れない理由の一つに「頻繁な充電が面倒」というものがありますが、wenaはその心配はなさそうですね。
おわりに
この記事のざっくりまとめです。
- 本体サイズは過去2作よりもこなれてきた。バックルとして大きな違和感はないが、女性や手首の細い人にはまだ少し大きく感じるかも
- やはり画面は小さい。ここは過度な期待はしないでおきましょう
- Metalはともかく、LeatherとRubberはヘッドを付けないスマートバンドとして使ったほうが快適かもしれない。時間も見れるので単体でも不具合はない
- スマホアプリの気がきいている。アプリのUXが悪いとwenaにも悪印象なので地味に嬉しい点だと思う
- SuicaやAlexa、ライフログなど今っぽい機能が加わり十分な印象。かつどれもバグや不具合なく動作している
- (今の所)充電の持ちは期待以上
総じて、24,000円という価格もあって満足です。少なくともスマートウォッチ初体験の私がガッカリしないクオリティではあります。
iPhone/Androidどちらにも対応というのも大きいかもしれません。上記のようにSuica対応かつAndroid対応のスマートウォッチはガーミンしかない状況でしたが、あちらは高価なモデルが多くかつ大振りなデザインが多いです(もとがアウトドア系ブランドなのでそれも味なのですが)
お手軽にスマートウォッチを試してみたい、Andoroidでも使いたい、いかにもスマートウォッチなデザインに抵抗がある…といった方には特におすすめです。
今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。
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