サブスクリプションビジネスの売上と利益の見積もり方ガイド|経営とサービスの健全性について

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この記事のざっくりまとめ
  • サブスクリプションサービスの見積もりは、その他の商品とは考え方が異なる
  • 大切な指標はLTV、MRR、CACそしてチャーン(離脱)レート
  • 結局大切なのは離脱を防ぎLTVを高めること

近年、ソフトウェア業界を中心にサブスクリプションと呼ばれる新しい形態のビジネスモデルが増加しています。

IT業界ではSaaSビジネスやクラウドの従量課金が代表的なサブスクリプションです。当ブログでもサブスクリプションビジネスについても解説しています。

この記事では、従来のモノやサービスの利益とは少し異なる、サブスクリプションならではの売上と利益の見積もりについて説明します。

LTV(Life Time Value)という概念

まずは、サブスクリプションをサブスクリプションたらしめる最も大切な概念である、LTV(Life Time Value)を理解しましょう。

LTVとは、顧客一人(1アカウント)あたりから得られる障害利益のことです。

サブスクリプションビジネスでは、顧客が契約を破棄し離脱しない限りは継続的に売上が発生するため、相応の時間軸を見越した数値で顧客からの売上を推測します。

そして、LTVを計算するために大切な指標が下記のとおりです。

  • MRR(Monthly Run Rate):顧客一人一ヶ月当たりの平均売上
  • CAC(Customer Acquition Cost):新しく顧客を獲得するための単価
  • チャーンレート:顧客がサービスの利用を止めてしまう率

これを簡単な図にすると下記のとおりです。

図の縦軸は顧客あたりの単価、横軸は利用期間です。赤い線はそのときどきのMRRで、あるタイミングでチャーンしてしまっています。

この時、この顧客のLTVは青い図形の面積の合計です。このように、LTVは単価と利用期間で表される関数を積分したものになります。

利用期間はチャーンレートの逆数で表されますので、すなわち、LTVを表す式は

LTV = MRR / Churn

とシンプルに表すことができます。同時に、CACは

CAC = 顧客獲得のための総コスト / 獲得顧客数

となります。

一般的な目安ですが、SaaSビジネスではLTV > CAC *3であれば収益化が期待できると言われています。

また、CAC/MRRで表される、「顧客獲得までの投資を売上で回収できる期間」は12ヶ月以内が望ましいと言われています。

計算式はともかく、この概念だけは覚えて頂くと良いかと思います。

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LTVを試算し、サービスの健全性を評価する

ここからは、上記の式を使ってサービスと経営の健全性をシミュレートしてみましょう。前提は下記のブログに出てきた架空のサービスを再度検討します。

このサービスの指標は、

  • MRR:¥50,000
  • チャーンレート:1%
  • CAC:¥1,000,000

です。よって、LTV = 50,000 / 0.01 = ¥5,000,000 です。このサービスでは、顧客一人あたり生涯で5百万円の売上が期待できます。かなり高額なサービスですね。

このサービスは高価なので、専門の営業部隊がいると仮定します。そうするとCACも上がり百万円になりました。

そうしますと、LTV/CAC = 5 > 3 また、CAC回収期間は20ヶ月です。

このサービスはチャーンレートが低いため、LTV/CACは5と収益性抜群ですが、初期投資を回収するまでの期間が相場よりかなり長いため、会社全体で黒字化するにはそれなりの期間がかかりそうです。

また、売上が軌道に乗るまでに資金が辛くなることが容易に予想されるため、創業浅い時点からの資金調達も必要になるでしょう。

強いサブスクリプションビジネスを作るには

ここまでのシミュレーションを見て頂くと分かるように、サブスクリプションビジネスの強さは、いかにチャーン(離脱)を抑えるか、です。

わずかにチャーンが上がってしまっただけで収益性も回収期間も大幅に下ぶれてしまいますし、離脱した分はまたCACを使っての補填が必要になります。

極端な戦略にはなりますが、チャーンレートを限りなくゼロに近づけられれば収益性も大幅に大きくなりますので、簡単に離脱を許すよりは値引きや色々なオファーを使ってでも残留していただいた方が合理的とも言えます。

しかし、本質的にはサービスレベルを上げることで、値引きに頼らずともチャーンレートを引き下げることが最も理想的です。

この、顧客をリテンション(継続)させるための広い概念をカスタマーサクセスといいます。

まとめ

この記事では、サブスクリプションサービスの売上見積もり方として、LTVを中心とした計算方法を説明しました。

サブスクリプションビジネスでは、売上は契約時に一括ではなく、長期に渡って継続的に発生するのが一般的です。

そのため、投資に対する回収も、顧客が離脱するまでの売上合計から考えるのが普通です。

年間数万円のサービスのために営業が複数人いるのは不思議に見えるかもしれませんが、チャーンレートから考えればある程度確かに将来の売上が見込めるため、積算すると大きな売上になります。

身近なサブスクリプションサービスの売上利益構造も分析してみると楽しいかもしれませんね。

今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。

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Huli

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