コトラーのマーケティング4.0を読む:スマートフォン時代の”Market-ing”とは

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2017年8月に日本でも出版されたフィリップ・コトラーの「コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則」を読んで要約してみたいと思います。

フィリップ・コトラーについて

コトラーは非常に高名なマーケターなのでご存知の方も多いでしょう。MITで経済学の博士号を取得後、シカゴ大、ハーバード大、ノースウェスタン大などで教鞭をとりました。

有名な理論で言うと市場と自らの位置取りを解くSTP(セグメント、ターゲット、ポジションニング)理論や、マーケティング4つのPに2つ(public opinion、political power)を追加した6P理論などです。

営利事業のみならず幅広い組織に対し活動し、書籍も多く残しています。その功績から「近代マーケティングの父」とも呼ばれる人です。

マーケティング4.0とは

コトラーは2010年にMarketing 3.0: From Products to Customers to the Human Spirit(邦題:「コトラーのマーケティング3.0―ソーシャル・メディア時代の新法則」)というタイトルで著作を発表しています。3.0では、マーケティングはモノを売り込む製品中心の1.0、顧客満足をめざす消費者志向の2.0を経てデジタルを中心とした人間を中心に価値を提供するものへと進化したと説いています。

3.0から7年たち、メジャーアップデート版として本作4.0が発表されました。本作では「スマートフォン時代の究極法則」とあるように、モバイルの登場によって企業と顧客とのコミュケーションのあり方は大きく変わってきました。

そのような流れにあって、時代に合わせて変化するマーケティングの最先端を説いたものが本書となります。

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

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本書は1〜3部で全11章からなります。ここでは各部の要点を箇条書きで記述します。個人的に大切だと思った箇所は太字で記載します。

第一部:マーケティングを形作る基本的なトレンド(1〜4章)

  • アメリカのイノベーションが減少する一方、アジアでは先進国のサービス、プロダクトのリバースエンジニアリングによって築かれたビジネスが流行している
  • ITの普及によりビジネスへの参入障壁はますます低くなった。一方で、顧客は企業からのお仕着せのマーケティングメッセージを信用しなくなった(縦から横への潮流)。その代わり、顧客はソーシャルメディアを通じて信頼できる情報を集めている
  • マーケティングとは変化し続ける市場を相手にするものであり、「marketing」というよりはむしろ「market-ing」と表記すべき
  • マーケターが狙うべき市場は、都市型のライフスタイルを取り入れた中流階級以上の若く生産性の高い住人
  • オンラインとオフラインは顧客体験の向上のため補完しあうべき
  • 顧客間でも発信力の高低が生まれ、一部の顧客は他社の意見に頼りすぎる
  • ブランドに対するネガティブな意見は議論の活性化につながるため一概に悪いとも言えない
  • デジタル時代における顧客セグメントの主役は若者(youth)と女性(women)とネティズン(netizen)
  • マーケティング4.0とは企業と顧客のオンライン/オフライン交流を一体化させるアプローチである
  • マーケターが一方的に顧客をセグメント、ターゲットする行為は減り、顧客コミュニティに承認を求める必要がある。企業側での差別化から、ブランドのイメージ戦略が重要になる

第二部:デジタル経済におけるマーケティングの新しいフレームワーク

  • 顧客は常に大量のメッセージにさらされているため、タッチポイントの増大が必ずしも影響力の増大にはつながらない
  • 新しくマーケティングの5A(Aware、Appeal、Ask、Act、Advocate)を提唱する
  • 5Aの促進のためには3O(Own、Others、Outer)の影響を利用すると良い
  • ブランド認知率と推奨率の相関関係に着目するためにPAR(ブランド認知がブランド購買に遷移する率)とBAR(ブランド認知がブランド推奨に遷移する率)を導入する
  • 産業ごとにマーケティングファネルの構造は4つの類型に分けられ、それぞれに適した戦略がある。すなわち
    ・ドアノブ型(toC パッケージ製品):親近感を高める
    ・金魚型(旅行など好奇心を掻き立てるもの):好奇心を最適化する。コミットメントを高める。親近感を高める
    ・トランペット型(高級車、時計など):コミットメントを高める
    ・漏斗型(耐久消費財、サービス産業):コミットメントを高める。親近感を高める

第三部:デジタル経済におけるマーケティングの戦術的応用

  • マーケターはブランドに人格を与える必要がある。それは威圧的ではなく正直で、欠点を認め完璧なふりをしないブランド
  • マーケターはデジタル人類学によってもっと人間を理解する必要がある
  • デジタルによって、コンテンツは新しい広告になり、ハッシュタグは新しいタグラインになった。コンテンツ・マーケティングには8つの段階がある。それは目標設定、オーディエンスマッピング、コンテンツの構想、制作、配信、拡散、評価、改善である
  • マーケターはコンテンツを通じて顧客と会話をし、その会話がまた次の影響を生む
  • 今や顧客はすべてのチャネルでシームレスな体験を望むようになった。マーケターは、オンラインとオフラインを統合する必要がある
  • 顧客を購買行動から推奨へと変化させることの重要性を過小評価してはならない
  • モバイル時代のエンゲージメント強化施策としては次の3つがある。モバイルアプリの提供、ソーシャルCRM(注:ソーシャルメディア上で、顧客とコミュニケーションを取ることで顧客の満足度や好感度を高め、企業のイメージアップや購買につなげる手法)、ゲーミフィケーションである

まとめ

以上、コトラーのマーケティング4.0について一部をまとめました。私の感想としては、最近は誰もがモバイル端末を所持しているおかげで企業と顧客の付き合いが長期間化していると感じました。

製品やブランドについて調べたければいつでも調べられるし、購入後もカスタマーレビューを投稿したりSNSアカウントをフォローしたりする。

そういう意味で過去常識として語られていたファネル(注:広く集客したうえで、ふるいにかけられた見込み顧客が、検討・商談、そして成約へ流れる中で段々と少数になっていくこと)のような一方通行な購買行動はもはや古いのでは無いでしょうか。すなわち全局面が認知であり、購買であり、かつ推奨(あるいはその逆)です。

また、本書の特に9章は個人における発信でも同じことが言えると思いました。コンテンツはただ配信したり閲覧したりするだけでなく、その後のカンバセーションを促すような設計が必要です。インタラクティブな会話は更に誰かを巻き込み、我々をまた一つ高次へと連れて行ってくれます。

本書はまさに今のデジタル時代においてブランド価値の訴求を狙う法人、個人にとって大きな学びを与えてくれるバイブルとなるはずです。今回の要約はほんの一部ですので、ご興味のある方は是非購入されて通読されることをおすすめします。

今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。

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Huli

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