この記事ではMicrosoft Azure入門向けの書籍と資格の取得ロードマップについて解説します。こんな方を対象としています。
- クラウドが何か、オンプレミスには無いメリットや特徴を知りたい
- Azureの前提知識に自身が無いのでゼロから学べる参考書などが知りたい
- Azureを扱う上でのプラクティスを知りたい
- いずれはAzureの資格も取得したいので、仕組みを知りたい
逆にこんな人には向きません。
- すでにクラウドに関する下地があるので、ハイレベルな書籍を探している
- 技術的な解決法のみフォローしたい
この記事の前半でおすすめの入門書を紹介した後、後半で資格についてもご案内します。
資格について詳細に知りたい方はまずこちらを先にご覧ください。
おすすめの入門書7選
まずはお勧めの入門書です。最初が一番入門的で、あとに進むにつれて専門性が増していきます。
Windows Azure エンタープライズクラウドコンピューティング 実践ガイド

この本は最初に私がクラウドに出会ったときに人に紹介されて読んだ本です。
1章がクラウドに関する汎用的な提供モデル(IaaS、PaaS、SaaS)と設計思想、既存資産のクラウドへの移行とテストおよびメディア、ゲーム、Web、Big Dataなど各分野ごとの適応について説明されています。
2章ではWindows Azure(当時はまだMicrosoft Azureという名前ではありませんでした)のサービスの説明です。出版されてから年月が経っていますので、個別のサービスというよりはクラウドの概念を掴む本かと思います。
Azureが、というよりクラウド全般の特徴やメリットを知りたい方に特におすすめしています。
Cloud First Architecture 設計ガイド

ソリューションアーキテクト的な観点から、クラウドのメリットやオンプレミスとの違いを解説しています。
文字通り、オンプレミスとは大きく概念が異なるクラウドを利用する価値や、組織にクラウドを取り入れる際に注意すべきことなどが書かれています。
Blue green deployment、カナリアリリース、カオスモンキーなど、クラウドならではの技術や手法に代表される用語を説明しつつ設計の概念について説明しています。
法人組織にクラウドを取り入れていきたいと考えている人に向いているかと思います。
タイトルの印象ほどには内容は難しくありません。むしろ初学者にこそ読んでいただきたい良書で、非常におすすめです。
クラウドデザインパターン Azureを例としたクラウドアフリケーション設計の手引き

クラウドデザインパターンはAzure版のWell-Architectured Frameworkとも言うべきもので、Azureを設計する上でのベストプラクティスが掲載されています。
設計で達成すべきことがいくつかのクライテリアに分けられており、それぞれトレードオフを調整しながら所望の特性を目指すことが書かれています。
注意:本書は2014年から紙の本での版が止まっているため、最新情報はMicrosoftのWebからフォローしてください。こちらからアクセスできます。
Azureテクノロジ入門 2019

日本マイクロソフトのエンジニアが中心となって執筆されました。タイトルの通り、日本語で書かれた本の中では最も新しいサービス群をフォローしています。
例えばサーバレス支援のAzure Functions、アジャイル開発のためのAzure DevOps、Azure上でKubernetesを扱うためのフレームワークであるAKS(Azure Kubernetes Service)、ハイブリッドクラウドインフラのAzure Stackなどを幅広く網羅しています。
最新の技術を押さえておきたい方におすすめです。
Azure定番システム設計・実装・運用ガイド オンプレミス資産をクラウド化するためのベストプラクティス (マイクロソフト関連書)

これも2018年に出版された比較的新しい本です。内容は第2章 リフト&シフトによる既存環境の移行、第3章 データベースサービスを使う、第5章 負荷分散と地理冗長、第6章 イントラネットをAzureに延伸する、となっており、インフラよりの内容となっています。
特に、オンプレミスで動いているワークロードをAzure上へマイグレーションするためのプラクティスが載っています。
※4/9クラウドへの移行に関しての概要を別記事にしました。
Azureを扱うエンジニアの他、ユーザ企業側でオンプレミスサーバのクラウド化案件を抱えているような方にもおすすめの本です。
また、最後の第7章にはベストプラクティスとガバナンス、運用要件についても記載があるため、実務に役立つ構成かと思います。
執筆には日本マイクロソフトの有名なエンジニアが参画しておられ、現時点でのノウハウが詰まった特にオススメの書籍です。
やや高額ですが見合った価値はあるでしょう。
Microsoft Azure実践ガイド impress top gearシリーズ


2017年に出版された本です。仮想マシン、仮想ネットワーク、ネットワークセキュリティ、プライベートネットワーク、ID管理、ストレージなどAzureの基本領域をメインに学ぶことができます。13章ではInfrastructure as Codeについて、14章ではリファレンスアーキテクチャもあり、読み応えがあります。
これからインフラの担当として知識をつけたい方におすすめです。
業務システム クラウド移行の定石


こちらはクラウドの中でも、オンプレミスからの移行に焦点を当てた一冊です。
AzureとAWSと両方に対して言及があります。
章を分けてクラウド移行の戦略、POC、設計と移行作業、運用、と順序立てて説明されています。大枠ではAWSの移行ロードマップフレームワークに則っているようです。
いかにクラウドといえどネットワークやセキュリティといった、システム全体に影響のある箇所は後から容易に変更ができないため、そういった勘所が指摘されているのは非常にありがたいです。
一方で、本書が出版された2018年からも以降に関する様々なツールやサービスが発表されているので、何を使って移行するかは最新の情報を参照してください。
MCP資格試験
次いで、Azure関連の試験についてです。
※2020年3月アップデート情報
クラウド関連試験は絶えずアップデートされていますが、今回またMCP試験に関して大きな方針変更がありました。


詳しくは公式をご覧いただきたいのですが、複数の試験に合格することによって得られたMCSA、MCSD、MCSEといった複合資格が廃止になります。また、WinServerとSQL Serverの古いバージョンの資格も廃止になります。
その他、Azureの旧資格70-XXX系統も終了になります。こちらは資格ごとなくなるのではなく、6月30日以降新たな試験は行われません。
おそらくはこれまでのように新しい系統の資格に移行するか、出題範囲の再整理が行われるものと思われます。
※全くの余談ですが、6/30というのはMicrosoftの会計年度が終わる日なので諸々の切り替えにちょうどいい日なのです。
いずれにしても、既にお持ちの資格には影響はありません。7/1以降に新試験を受けられる方にも影響はありません。現行の資格を受験しようと考えている方は6月までに合格された方が良いと思います。
Azureの試験形態
本と実機である程度知識が出たらMCP(Microsoft Certificated Professional)という試験を受けてみることがおすすめです。ゼロから始めた方であれば、まずAZ-900かAZ-103を目指してみるとよいでしょう。


MCP試験については当ブログでも別の記事にまとめています。詳細な内容についてはこちらの記事をご覧ください。
知識を磨いて、より活躍されることを願っています。
今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。
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