私は何度か転職をしていますが、中には外国人社員の多い企業もありました。彼ら彼女らと働いているといわゆる一般的日本のキャリア観と違う点が色々とありました。

日本でもつい最近豊田章男社長が 公の場で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べるなど、人材の流動性について認める発言がありました。
今アラサー以下くらいの人にとってもはや一社に勤め上げるモデルは過去のものとはなったと思いますが、人の中にあるイメージは一朝一夕では変わりません。
転職は不誠実で後ろめたいものと思う日本人
従来の雇用制度において、会社とは疑似的な家族であったと思います。そこには少なからず単純な雇用契約以上のつながりがありました。家族の一員だと思っていた人がある日突然そこから抜ける、と宣言されるのですから裏切られたような気持にもなるというものでしょう。
私もかつて会社あるいは同僚からこんな待遇を受けたことがあります。
- 引き継ぎに関する打ち合わせを何度もリスケされ、露骨にプライオリティを下げられた
- 退職のことを知った同僚が腫れ物に触るように接してくる
- 変わらずパフォーマンスを上げていたにも関わらず、最後の在籍期間の業績評価を下げられた(確か6段階でSからCくらいまで3つくらい下がった)
- 後輩に対し、「あいつみたいに逃げるのか」とパワハラめいた発言があったらしい
伝聞ではありますがもっと露骨な嫌がらせを受けた例も聞きます。再就職や保険受給に必要な書類を渡さないとか、出身校から採用活動を引き上げたりとか。
一方、辞意を伝えてから最終出社日までの日々に居心地の悪さを感じてしまう私自身にも確実に日本人的なキャリア観は残っているのだと思います。この期間をできるだけやり過ごす方法については別の記事に書きました。
転職は前向きなキャリアアップと捉える外国人
一方で海外(といっても広いので欧米系のグローバル資本主義企業をイメージして)では日本のような終身雇用や新卒一括採用はもともと存在しません。
日本の雇用が『雇った人に対して仕事を当てる』だとすれば海外では『必要なポジションに対し適した人を当てる』というスタイルを取ります。ですので、若い人であっても学歴や地頭ではなくそのポジションに対する総合的な適正の高さで判断されます。役柄のオーディションのようなものですね。
前職で仲良くしていたアルジェリア人のマネージャー兼エンジニアがいるのですが、彼は在職中から私の相談にもよく乗ってくれました。最終的に私が内定を取り応諾した時には我がことのように喜んでくれましたし、私のこれからのキャリアを応援してくれました。
その他にイギリス人、南アフリカ人、アメリカ人など出身も人種も様々なメンバたちが転職していきましたが、彼らは皆しばらくするとLinkedinに状況を書き込み、みんなでコメント欄で祝いあっていました。
彼らはネットワーキングの大切さを知っているのですね。かつての人脈を途切れさせず(かつ、あまり近寄りすぎず)緩く関係性を保っておき、定期的にSNSでアップデートする。これはお互いをベンチマークしたり業界の動向を探ったりするほか、この緩いコミュニティ自体をヘッドハンターは見ているということを知っているからです。
日本でも最近はSNSを通じて政策をアピールする政治家さんが増えてきましたが、SNSでは発信する、コミュニケーションするほかにそのやり取り自体をパフォーマンスとして第三者へ訴求することができます。転職やキャリアにおいて、こうした他者からの評価が大きく影響することは言うまでもありませんね。
まとめ
冒頭で申し上げたように、日本的な終身雇用は過去のものとなっています。一方でテクノロジーの進歩によるビジネスの変化はどんどん速くなり、求められるスキルのアップデートもこれまでの比ではありません。
一人の人間が様々なポジションを歴任するメンバーシップ型の雇用から、より限定的なジョブ型の雇用へとある程度までシフトしていくことでしょう。
自らの市場価値を常に確認し、人材の流動に備えることが、終身雇用の安定性に代わるこれからのリスクヘッジです。そのためにSNSや転職サイトは小まめにアップデートしてネットワークを絶やさないようにしてくださいね。
今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。
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