この記事では、転職を志望する方がが面接をパスし内定を勝ち取るために大切な『志望動機』の作り方を、フレームワークに沿って解説したいと思います。
また、転職面接に呼ばれるための履歴書の書き方については別の記事で説明しています。
面接とはストーリーを語ることである
転職面接において面接官にアピールしたいがあまり自分の有能さを「肩書」や「表彰歴」、あるいは「資格」「前職のネームバリュー」で語ってしまう人は多いもの。確かにそれもある程度は有効でしょう。しかし、限られた面接時間においてはこれは悪手、あるいは非効率だと言わざるを得ません。
中途採用面接の場において最も大切なことは『あなた自身が何者であるかをあなたならではのストーリーで伝える』ことです。
それは必ずしも他者に勝ち、何かを達成したキラキラした物語である必要はありません。面接官が求めているのはそうした成功譚ではなく、あなたがプロフェッショナルとして何を考え、何に悩み、そして自ら責任を取って何を決断したか、です。
フレームワークでストーリーを組み立てる
そうは言っても一体どうやれば自分の経験が魅力的なストーリーに聞こえるか分からない、そう思われることでしょう。
私はこうした人に、Amazon社が公開する“STAR”というフレームワークに則って話に起承転結を付けることをお勧めしています。STARとは下記の4つの要素から構成されます。
スターメソッドとは、皆様が説明しようとする特定の状況、業務、行動、結果を話し合いながら、行動に基づく面接質問に回答していくという構成方法です。これには、次のようなものがあります:
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・状況(Situation)
あなたが今置かれている状況、または達成する必要のあるタスクについて説明します。複雑な状況が面接官に伝わるように、十分な詳細を述べます。この詳細は以前の仕事、学校のプロジェクト、ボランティア活動、その他の関連イベントからの物も含まれます。
・タスク(Task)
どんな目標に向かっていましたか?
・行動(Action)
その状況に対してあなたがどのような行動をしたか、あなたに焦点を当て、適切な量の詳細を含みながら説明します。 具体的にどのようなステップを踏みましたか? どんな貢献をしましたか? プロジェクトについて話すとき、チームやグループが行ったことを説明しないように注意します。あなたが実際に何をしたかを我々に教えてください。行動を説明するときは、「私たち」ではなく「私」を使用します。
・結果(Result)
あなたの行動の結果を説明します。あなたのふるまいを自分の手柄にすることに躊躇しないでください。何が起こりましたか?どのようにイベントが終わりを迎えましたか? 何を達成しましたか?何を学びましたか?該当する場合は、指標またはデータを使用した例を提供します。
STARフレームワークは以下のような重要なポイント、あるいはストーリーを組み立てる上でのヒントを持っています。
- まずはコトの全体像が分かるよう、構造的かつ俯瞰的に捉え、説明する
- 状況が終息するためのゴールを明示する
- 主語は常に「私」。自分が何をしたか
- それはどんな結末を迎えたか
このポイントを念頭におきつつ、過去あなたが経験したプロジェクトを追体験し、ストーリー化すればよいというわけです。
STARを使ったケーススタディをやってみよう
さて、STARを踏まえつつひとつ実例を作ってみましょう。(※あくまでもサンプルということで、フィクションです)
私は現職で企画・マーケティングチームのリードを務めています。5ヵ月前のことですが、当社とお付き合いの深いパートナー企業のイベントにブース出展することが決定しました。最終的な締め切りまで日にちが無い中、最終的に5件以上の案件化につなげるという目標のもと、プロジェクトがスタートしました。(Situation, Task)
しかしコミットメントはある一方で本件の社内での認知はまだまだ低く、期間もないこともあり社内での大きな投資判断を通すことが困難でありそうだということが分かりました。そこで私はかねてからお付き合いがあり、このイベント自体のプラチナスポンサーであるA社にコンタクトを取りました。イベントを通じ案件化できればA社にとっても利益が発生するような座組みを考え、プレゼンすることで、最終的にA社からイベント出展費用の大部分を投資してもらえるよう約束を取り付けました。
また、当日のミニセッションには当社の者だけでなく、実際にソリューションを導入頂く予定のお客様B社の部長にも登壇頂くよう調整を付けました(Action)
この結果、ブースとセッションあわせて300枚の名刺を集めることに成功し、25件の商談が成立、そして目標を上回る6件の案件へとつなげることができました(Result)
いかがでしょうか。目的と課題に対し、自分が行った工夫とリーダーシップが伝わるようなストーリーになっているのではないでしょうか。
面接本番に臨む前にあらかじめSTARフレームワークに則って複数のストーリーを作っておきましょう。中にはうまくハマらない、語りきれないものもあるかと思いますので、一度文字に起こしたうえ音読してみることをお勧めします。
当日は面接官の問いかけに対し、複数のストーリーのから最もふさわしそうなものを選び答える流れになります。私の経験では1時間の面接で話せるストーリーは2~4つ程度です。あまりに1つのストーリーをだらだらと伸ばすことも良くありません。一人で話すのはせいぜい数分程度にとどめ、面接官からの質問を引き出すようにしましょう。
あなたならではのストーリーで面接官にアピールしてくださいね。
今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。
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